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2010 年度 実績報告書

多数派形成のメカニズムと政権交代

研究課題

研究課題/領域番号 21830113
研究機関中央大学

研究代表者

荒井 紀一郎  中央大学, 総合政策学部, 助教 (80548157)

キーワード政治学 / 政治行動論 / 投票行動 / 実験経済学 / 多数派形成 / 帰属意識
研究概要

研究最終年度となる本年度は、前半に昨年度実施した予備実験・調査で得られたデータの分析とそこで明らかとなった実験デザインの問題点の修正作業をおこない、後半に問題点を修正した実験室での実験及びインターネットを用いた調査実験を実施した。これらの実験では、1.有権者の帰属意識と協力行動との関係、2.有権者の政策争点軸の認知と争点投票との関係、そして3.有権者の選好の強さと多数派形成との関係という3つの関係を明らかにすることを目的に設計をおこなった。実験の結果、有権者が置かれた社会的なコンテクストによって、帰属意識が有権者同士に協力を促す効果は異なるが、政治や選挙とは直接関係のない「(有権者が属する地域の)文化や慣習」を強調することで帰属意識を高めたグループでも、選挙における協力率が高まるということが明らかになった。また、有権者は事前に政策争点の対立軸を知っている場合には方向性モデルに従って投票する傾向にあるが、対立軸に関する認識がない場合には近接性モデルに従って投票する傾向にあることもわかった。これは、前者が選挙における政党や候補者の配置を「質的」に、つまり自分の敵なのか味方なのかといったように二項対立的に理解しているのに対して、後者が政党や候補者が配置された空間を「量的」に理解していることを意味している。この知見はこれまでの投票行動研究における空間モデルに留保をつけるものである。最後に、選挙や民主主義についての満足度やシステムサポートは、自分の選好を変えてでも選挙に勝利した有権者の方が、自分の選好に従って投票し敗北した有権者よりも相対的に高くなるということも明らかになった。このことは選挙民主主義の根幹にかかわる問題であり、現在より精緻な分析を進めている。研究成果については学会にて報告を行い、一部については査読付き雑誌への掲載が決定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 政治的洗練性が規定する態度の安定性2011

    • 著者名/発表者名
      山崎新・荒井紀一郎
    • 雑誌名

      選挙研究

      巻: 27巻1号(掲載決定(印刷中))

    • 査読あり
  • [学会発表] 争点の種類と争点投票-対立軸の認知がうみだす投票行動のパターン-2010

    • 著者名/発表者名
      荒井紀一郎
    • 学会等名
      日本選挙学会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2010-05-16
  • [図書] Introducing the Faculty of Policy Studies : Integrating Policy and Culture2010

    • 著者名/発表者名
      Kiichiro Arai(Faculty of Policy Studies, Chuo University)
    • 総ページ数
      311-320(320)
    • 出版者
      Faculty of Policy Studies, Chuo University

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公開日: 2012-07-19  

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