研究課題
若手研究(スタートアップ)
平成21年度は、知識移転を左右する要因である受け手の吸収能力の規定要素を探るべく、(1)文献渉猟および(2)インタビュー調査を行い、一般化の為の因子の抽出を試みた。具体的には、(1)研究代表者が提示した吸収能力の概念化モデルの理論的妥当性を強固なものにすべく、文献渉猟を行った。結果として、研究代表者が当初提示した概念化モデルにおける「吸収能力」の範囲を変更するに至った(詳細は2010年6月の学会において報告予定)。この結果を踏まえ(2)多国籍企業の海外現地法人12箇所においてインタビューを実施、うち9箇所において本社から移転される知識移転に関する具体的な事例を得た。この調査に関しては、平成22年度に実施する予定である定量(アンケート)調査に向けて、移転される知識に対する「受け手の吸収能力」を規定する因子の導出を引き続き試みている。当初の調査計画からの変更点として挙げられることは、インタビュー調査の結果の分析にあたって、調査結果の分析の効率性の観点から、アルバイト雇用ではなく、ソフトウェア(NVIVO、豪QSR International社製)を用いていることである。本研究の意義は、吸収能力の規定要因が受け手のみに存在しているとされていた旧来の研究に対する反駁を実証しようという点にある。また重要性は、送り手が、知識という経営資源の有効な利用に対する監督責任を指摘するという点において、多国籍企業の海外子会社の管理に対して実践的なインプリケーションにあると考える。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
International Journal of Global Business and Competitiveness Vol.4, No1
ページ: 31-42