平成21年度の研究実績の概要について以下のように報告する。 東京都内の公立幼稚園にてフィールド観察を実施し(ほほ週1回のペースで合計17回)、エピソード記録、ビデオ記録、行動観察ツールCAVSceneによる記録によるデータを収集した。また、平成22年2月23日には保育のフィールド観察の時間帯より、スーパーバイザーを依頼し、保育のフィールド観察後、全教員にも参加してもらい本研究の対象児である発達障害児の発達を支える保育に係る検討会を実施した。その結果、対象児の姿より確認された認知面等の発達において、対象児と担任教諭、及び他児との間で結ばれている信頼関係が前提となっている可能性について助言があった。そして、検討会においてスーパーバイザーや全教員と意見交換を実施したことにより、「対象児と他児との遊び」、及び「その遊びの仲間づくりの過程」という仮説生成に向けた分析の観点を得ることができた。 平成21年度以前より収集したデータの「整理・確認」「分析・解釈」を実施した。その結果、幼児教育の特性が障害児にとっても発達を促進する効果があるということが認められた。具体的には障害の特性を理解した上で、さらにその特性を幼児理解の参照とすることで、障害児の主体としての姿を受け止めることが可能となり、主体としての姿を受け止められた障害児は集団活動に積極的に参加することを始めた。その参加過程の結果として障害児の発達が確認され、論文作成、研究成果の発表に向けて大きな足掛かりを得ることができた。
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