本研究では、原産国表記(Country-of-Origin)が製品、あるいはサービスの評価に与える効果のメカニズムについて、これまでの理論的考察を踏まえつつ、実務との対話や経験的研究を通じて明らかにすることを目的としている。 1年目となる本年度は、COO研究の文献展望の体系化、および実務との対話や優れた実践の観察を通じて、大きく以下のような2つの点が示された。第1に、COO研究の文献展望の体系化を通じて、COOを通じたマーケティング・コミュニケーションにおいて、COOだけではなく、広告信頼性や消費者の関与水準など他の要因との連関のもとにCOO効果を検討することの重要性が指摘されるとともに、COOがマーケティング・コミュニケーションの中で提示される情報の信頼性の担保にどのように関与しているのか明らかにしていく必要性が示された。第2に、実務との対話や優れた実践の観察を通じて、同じブランドでもCOOが変わることで製品評価や購買意図は大きく異なること、COOによって広告に対する信頼性が構成されていること、COOが競争優位の源泉になっている可能性が示され、仮説の構築・精緻化が図られた。 以上のような研究成果の一端は、『マーケティング・コミュニケーションにおけるCOO(Country-of-Origin)効果に関する研究』(神戸大学大学院経営学研究科博士論文)に公表した。本年度蓄積した研究成果は、来年度実施する予定である経験的研究の仮説を精緻化すると共にその理論的位置づけを確認したという意味において、来年度の研究の重要な基礎を構築したものと考える。
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