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2010 年度 実績報告書

主権・セキュリティ・人種-排斥を正当化する論理と対抗的公共圏の限界と克服-

研究課題

研究課題/領域番号 21830138
研究機関南山大学

研究代表者

大井 由紀  南山大学, 外国語学部, 講師 (10551070)

キーワード移動のセキュリタイゼーション / 国家主権 / 国境管理 / シティズンシップ / トランスナショナリズム / グローバリゼーション / 非登録移民 / 人種
研究概要

民主主義と対抗的公共圏の限界の限界について考察するため、前年度に国立国会図書館(東京)、National Archives and Records Administration(アメリカ・シアトル)及びサンフランシスコ市立図書館で収集した史料を引き続き読む作業を行った。また、これまで西部・中西部に限定されてきた視野を広げるため、ニューヨークのChinese Museum in Americaの見学及び東海岸のチャイニーズ・アメリカンに関する資史料を集めた。
今年度の特筆すべき成果としては、論文「潜在的脅威から潜在的市民へ?-移民問題がアメリカへ提起する問題」が挙げられる。本論文では、近年アメリカで増加したメキシコからの「非登録移民」について、これまでチャイニーズ系について蓄積してきた対抗的公共圏とセキュリティに関する知見をもとに分析した。具体的には、アリゾナ州はじめ複数の州で近年通過し、世論でも賛成が反対を上回った合法的な移民排斥とそれに対する反対運動に着目した。
民主主義は平等と結び付けられる概念・理念である。しかし、チャイニーズや非登録移民の事例は、民主主義的に人種主義的な選択がなされたことを意味する。これは、民主主義の陥穽と言えるのではないだろうか。論文では、反対運動の考察により、形式的平等が達成された後でも「民主的に」選択される差別にどのように抵抗し、覆していくことが可能か示唆を得た。本研究の意義は、民主主義の陥穽とそれがどのように是正されうるか示した点にある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 蒸気船が結ぶ「世界」-19世紀末アメリカにおける移民排斥と旅行産業2010

    • 著者名/発表者名
      大井由紀
    • 学会等名
      国際・エリアスタディズ部会日本社会学会年次大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2010-11-06
  • [図書] 駒井洋(監修)、明石純一(編集)『移民の「再発見」:経済危機のなかで顕在化する越境労働』のうち、「潜在的脅威から潜在的市民へ?-移民問題」がアメリカへ提起する問題」を執筆2011

    • 著者名/発表者名
      大井由紀
    • 出版者
      明石書店(印刷中)
  • [図書] 宮川佳三(編著)『南山大学地域研究センター共同研究シリーズ3』のうち、「属性からの避難所/抑圧するものとしての「第三の空間・文脈」-映画『その名にちなんで』におけるトランスナショナリティ」を執筆2011

    • 著者名/発表者名
      大井由紀
    • 出版者
      行路社(印刷中)

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公開日: 2012-07-19  

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