1年目には、19世紀後半にチャイニーズが国及び国民の安全を脅かす存在として構成された過程とチャイニーズの移民排斥法反対運動・諸権利獲得運動を、セキュリタイゼーション・脱セキュリタイゼーションという枠組みで整理した。そして、脱セキュリタイゼーション、つまり、移民はアメリカ・アメリカ市民にとり脅威でないということの証明として、「同化運動」が起きたことを明らかにした。結果的にこの運動が挫折した、移民という存在に内在的な要因によるものというよりは、国家主権形成及び海外への拡張という外在的要因によるものだったという回答に至った。2年目には、研究対象を地域・時代・集団の点で広げ、メキシコからの非登録移民に対する移民政策と、それに反対する対抗的公共圏形成について分析するとともに、東部のチャイニーズも視野に入れた研究に着手した。
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