1. 日本銀行はゼロ金利政策と量的緩和政策を採用し、これらは「非伝統的金融政策」と呼ばれ、それ以前の政策と区別され議論されている。この政策の中で、(1)ゼロ金利政策の開始と量的緩和政策の開始、(2)ゼロ金利政策へのコミットメントの付加と量的緩和政策へのコミットメントの明確化、(3)ゼロ金利政策の一時的な解除と量的緩和政策の解除は、政策声明に対する効果を議論する際に重要であるといえる。一連の声明が金融市場に影響を与えたかを計量経済学の手法を用いて検証した。その結果、ゼロ金利政策へのコミットメントの付加と量的緩和政策へのコミットメントの明確化に関しては、予想と異なる反応を示した。この内容は、「ゼロ金利政策と量的緩和政策のアナウンスメント効果の検証」(『同志社商学』、第62巻第5・6号、pp.105-137、2011年3月)にまとめ、公刊した。2.日本では石油を生産できず海外からの輸入に頼っているため、国内の石油価格は海外の状況に応じて変化する。石油価格は経済活動やインフレ率と密接な関係があり、日本銀行は非伝統的金融政策を解除する条件としてインフレ率の動向を挙げている。海外情勢の変化で石油価格が変わり、それが日本経済にどの程度影響を与えるかを分析する必要があるといえる。そこで、同時多発テロ、イラク戦争、ハリケーン・カトリーナが日本の石油産業にどのような影響を及ぼしたかを、計量経済学の手法を用いて検証した。その結果、同時多発テロは他の出来事と異なった反応を示した。この内容は、「Effects of foreign disasters on the petroleum industry in Japan : A financial market perspective」(『Energy』、第35巻、pp.5455-5463、2010年12月)にまとめ、公刊した。
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