平成22年度においては、8月31日から9月2日までにニューヨーク市立大学バルーク・カレッジのChambre教授を訪問しロックフェラー財団のアジアのみではなくヨーロッパにおける医療活動について意見交換を行った。タイの医療教育制度における同財団の影響を調べるために9月20日には、タイバンコクのマヒドン大学医学部のSanya教授を訪問し、1920年代にタイに同財団の専門家を派遣しタイにおいてアメリカの医療教育制度の確立に貢献した事をお話いただいた。同財団がタイの医療制度確立に貢献しているということも学ぶ事が出来たと同時に、同財団の医療教育における影響力も大きいということが聞きとり調査により判明した。タイの事例について更に比較研究として調査を深めるため、ロックフェラー公文書館での調査を実施したいと考える。 12月には、米国国立公文書館においてロックフェラー財団と米国政府との協力について様々な切り口から文献調査をしたが、保健医療関係に直接関係する文書を見つけることは出来なかったが、国務省文書の中に教育及び文化における同財団の戦後の日本との教育・文化交流・外交への発展についての文書を発見する事が出来、教育文化交流に対する助成金及び事業型財団の役割について今後の研究課題として調査をしたいと考える。 平成23年3月には、追加調査として、私費でロックフェラー公文書館において戦後の日本における看護教育改革の同財団の影響について調査を行い、GHQと同財団の協力関係が明らかになった。膨大な数の資料及び平成21年度及び22年度において調査を行った内容を含め、国内外の学会で発表する予定である。本年6月には、ニューヨーク市立大学バルーク・カレッジNPO戦略・マネージメント研究所のworking paperに掲載される予定である。また、今後は、米国NPO学会、占領期・戦後史研究会で発表し、海外の研究者の協力を得て上述の研究課題について調査を行いたい。
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