「研究の目的」として取り上げた取引仲介のプラットフォームとなるNCネットワークおよび磨き屋シンジケートについてのビジネスシステムの形成や変遷について、具体的に検討することができた。 例えば、NCネットワークについては、設立当初の「製造業のYahoo」を目指すというビジョンに基づいて、事業ドメインが策定され、そこで展開されるサービス内容も検索エンジンが主流であった。その後、登録企業のニーズの変化に合わせて事業ドメインやサービス内容が変更され、今日のビジネスシステムに至っている。本研究の目的であったプラットフォームと登録企業(ユーザー企業)との相互関係から、ビジネスシステムの変遷をたどるという点については成果があったと考えられる。 また、ユーザー企業による取引仲介サイトの利用実態についても、「得意技術をアピールすることで受注を得る企業」「完成品を販売し、そのデモンストレーション効果を利用しながら受注を得る企業」「加工業務の多様性を売りにして幅広い受注を得ようとする企業」など様々な利用実態について研究してきた。この点についても、単にプラットフォームのサービス内容を見るだけでなく、それを利用する企業が具体的にどのような企業努力をして、受注を得ようとしているのか、そしてそれに対してプラットフォームとなる取引仲介サイトがどのようにサービスを工夫し、変化させているのかを検討したという点で、学問的にも実務的にも大きな意義があると言える。 本研究の「意義」・「重要性」について改めて整理すると、大きく分けると次の2点を挙げたい。(1)取引仲介サイトがどのようなサービスを提供すべきかを明らかにしたこと、またそれらのサービスを展開するに至った背景などを検討した。(2)取引仲介サイトを使う企業が、どのようにサービスを利用し、受注を得るためにどのような企業努力をしているのかを具体的に検討した。
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