40代から80代の中高年者を対象に、不快な記憶の意図的抑止機能および想起とその方略が現在の生活水準とどのように関係するかについて2年間にわたり検討を行った。その結果、忘却困難な指標の一つとして位置づけられる、不快な記憶がより近接して知覚される高齢者は、生きがいを感じない、将来が不安であるなどの、主観的健康水準も低いことが明らかとなった。また、生活機能の低い高齢者は、不快記憶を意図的に忘却することが困難であり、忘却のための抑止方略を身につけていないことも明らかとなった。これらの結果は女性に多く認められ、中年者には全体的に認められない傾向であった。
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