研究概要 |
本研究の目的を以下の2つに設定し,研究に取り組んだ。 1つは,協力校の研究協力者とともに研究会を組織し,生徒の言語活動を促進させ,実験レポートの表現力を高めるような化学実験授業をデザインし試行授業を実施することにある。2つめは,試行授業を実施した後,協力校の研究協力者,および生徒とともに言語活動を意識した授業実践がどう機能したか,レポート記述における表現力育成に効果的な手法とは何か,それを見いだし検証することにある。 掲げた2つの目的と,調査研究の具体的な内容に沿って研究を遂行した。研究組織の委員を中心に研究会を年間3回開催し,研究の方向性の検討や進捗状況の確認など相互理解を深めた。また,本研究はアクションリサーチ的な手法をとった。研究者は協力校との連絡,連携を密にするとともに,必要に応じまた可能な限り学校を訪問し,研究者と実践協力者が共に研究計画段階から十分協議をし合い,生徒の実態や状況を把握しながら,その時間で生徒にどんな力をつけたいのか等を検討しながら実践に取り組んだ。取組の結果,条件の異なるいくつかの学校で化学実験報告書の記述にかかる言語活動を取り入れたところ,その中でも「話し合い活動に価値を感じたか」「話し合い活動に意味を感じたか」という同じ質問項目において,どこの高等学校で行っても,9割程度の肯定的な結果を得ることができ,学習に満足し,自己効力感に寄与することがわかった。実践した教員も取組の意義を感じ,実践後の生徒の学習に対する意欲や理解度に向上を感じていた。この結果は化学実験報告書の活動において,時間を割いても話し合いなどの言語活動を取り組む必要性があり,取り組むことで新たな価値を生むことを示唆する結果となった。を求めて報告記述し,学習意欲が向上するなど,生徒にとって効果を得ることができた。
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