族のMorse理論を使い、5次元球面の微分同相群の分類空間の2次有理ホモトピー群が次のもので生成されることを示した。(1)線形球面束、(2)5次元ユークリッド空間への2次元球面の枠つき埋め込みの2パラメータ族、(3)Steinberg symbolで色付けされた平面上の図式("picture")のある同値類。球面の微分同相群の有理ホモトピー群に関する既存の結果は、球面の次元が十分に高い「安定域」に関するものが主であり、そこではpictureの一般化であるVolodin空間の有理ホモトピー群(代数的K理論)のみで尽きていた。本研究では範囲を非安定域まで広げているのだが、そのため安定域では消えていた障害が生き残ってしまう。具体的には、ファイバー束のファイバー毎の(局所的な)ハンドル分解の中間次元において、ハンドルの接着写像が定める、埋め込みの複雑さのために残ってしまう障害("M0障害")である。これが実際に残ってしまうことを、境圭一氏との共同研究で、埋め込みの空間の配置空間積分を用いることによって確かめた。M0障害はpictureには反映されず、安定域では許されたpictureの変形も、M0障害があるために、可能かどうかは自明でなくなる。今年度は、M0障害が存在する場合にも、M0障害とpictureの余次元2のstratumが重なる所でのハンドル分解の状態を詳しく見ることにより、非安定のpictureに許容される変形をリストアップし、それを用いてpictureとM0障害を分離することができ、5次元球面の微分同相群の分類空間の2次有理ホモトピー群の研究が、埋め込みの空間の2次有理ホモトピー群の研究と、代数的な問題に帰着された。
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