本研究では、下部地殻の代表的な岩石である斜長岩のレオロジーにおける水の影響や圧力の影響を定量的に調べるために、下部地殻に相当する温度・圧力を出力可能なGriggs型試験機を使い、斜長岩の予察的な変形実験を行った。本年度前期は、東北大学現有のGriggs型試験機を、変形実験が可能なように修繕した。東北大学が所有するGriggs型試験機用に、研究費で購入した温度制御・モーター制御のリレー回路を作成し、下部地殻条件下での実験が可能な変形試験機を作成した。また、出発試料を合成することで、粒径、含水量を制御かつクラックフリーの斜長岩を合成し、実験試料とした。通常の薄片観察に加え、放射光X線CT観察により、試料中のポア分布を調べた。また、FTIRを用いて、焼結した試料の含水量を求めた。真空焼結した試料の予察的な変形実験から、無水下では合成斜長石多結晶体は、著しく強度が高いことが明らかになった。一方、含水下では、試料の表面約1mmほど水軟化し、変形が集中した。この変形した部分は強い格子定向配列を示した。しかし、強度は無水下で変形したものと変わらないことから、今後、含水下でのアニール時間を長くするなどから、斜長石多結晶体を難化させるのに必要な含水量を調べていく。
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