当初の計画では本年度内に海洋底玄武岩の岩石磁学磁気学的測定・古地磁気強度測定を開始する計画であったが、年度途中に異動したので、異動先で本研究課題が進められるように、本年度はおもに測定に必要な実験装置の整備・調整を行い、また、サンプルの手配を行った。まず、古地磁気測定用のサンプルの整形に用いる小型ダイヤモンドカッターを購入した。また、古地磁気強度測定に必要な直流磁場コイルシステムを自動交流消磁装置付き自動型スピナー磁力計(DSPIN)に取り付けた。また、古地磁気強度測定に用いる熱消磁炉の調整を現在進めている。熱消磁炉に付属する熱残留磁化着磁用コイルの作る磁場については、三軸フラックスゲート磁力計を用いて、サンプル位置での直流電流値と磁場強度の関係(比例係数の決定)・磁場強度の一様性を測定した。サンプル位置での磁場強度は必要な精度(1%未満)を上回って不均質である問題があったが、原因が判明したので現在対応中である。平成22年度初期に真空容器とロータリーポンプ一式を導入することで、古地磁気強度測定に必要な実験装置の整備・調整が完了する目処がついている。測定する試料としては、海洋底拡大軸で最近噴出した玄武岩試料を入手する必要がある。チリ西方沖およびインド洋の海洋底拡大軸付近の玄武岩を関係研究者に依頼して、入手した。また、平成22年度にマリアナ背孤拡大軸の玄武岩試料を直接採取する研究調査航海があるので、それらの試料の一部を本研究にも用いたいと考え、それらの調査への参加を準備した。
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