研究課題
本プロジェクトの目的は、主に1)-70℃から100℃まで±0.1℃で温度制御でき、最大100GPaの圧力領域における粉末あるいは単結晶試料のX線回折実験が可能な装置・ソフトウェア環境の整備、および2)氷の高圧相および含水物質、特に地球内部へ水を運搬すると期待される含水鉱物の状態方程式・結晶構造の決定、であった。この点について、特に1の装置開発に関わる部分については平成22年度までに予定通り完了することができた。当初の計画では、-70℃~100℃までの温度領域を目標にしていたが、200℃までは高温にできることを確認でき、目標以上の性能を持つ装置が完成した。2つの目的については、特に塩を含む氷の高圧相について顕著な進展が見られた。すなわち、氷高圧相であるVI相において、NaClが5wt%以上溶け込みうることがあきらかになった。また、これまでNaClが固溶すると報告されていたVII相へは、非平衡状態でのみ固溶可能であり、時間と共に、純粋な氷とNaClとに分離してしまうこともまた、明らかになった。イオンの氷結晶への固溶は、そのイオンの周囲の電荷バランスを変え、分子の配向状態を変えることができると考えられるため、氷の物性や熱力学的性質に重大な影響を与えうる。例えば、土星などの氷惑星の衛星には、衛星内部に塩分を含む海が存在すると考えら得ており、それらの衛星内部の層構造に対して、本研究の成果が制約を与えうる可能性がある。本研究の成果は、国内での学会発表によって報告された。
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American Mineralogist
巻: (印刷中)(掲載確定)
Journal of Physics : Conference Series
巻: 215 ページ: 012023
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Review of Scientific Instruments
巻: 81 ページ: 043910
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