研究概要 |
銀河系内のミラ型変光星の距離を精密に測定するために、21年度はVERAによる位置天文観測を中心にして進めてきた。ミラ型変光星であるT UMa,Y Lib,Z Pup,GX Mon,U Lyn、RX Booなどの天体をモニター観測してきたが、21年度の研究期間中にこの中の2つの天体の年周視差計測に成功し、距離を決定することができた。それまでに計測が成功していた天体と合わせて7つの天体についての距離が計測できたことになり、本研究の大きな目標であるミラ型変光星の周期光度関係の確立に向けて大きく前進したといえる。また年度中に新たに5つの天体(S Crb,SW Lib,Fs Lib,IRC-20540,IRC+10374)の観測も開始し、順調にモニター観測が進んでいる。現在これらの新規観測のデータが届き始め、天体からの電波が受信できていることを確認済みである。年周視差を計測するために、更におよそ1年の継続観測が必要である。 また1m光赤外線望遠鏡を用いた観測についても赤外線モニター観測のデータ解析が進み、およそ260天体の変光星について変光周期が求められ、同時に見かけの明るさ(実視等級)の計測も行うことができた。これらの情報とVERAにより求められた周期光度関係の予備的結果を利用することにより、上記260天体までの距離を推定することができた。天体数はまだまだ少ないが、これは本研究の目標である銀河系内ミラ型変光星の3次元動的地図作成の初期結果となるものである。現在は視線速度等の情報を論文を中心とした文献資料から整理しているところであり、現段階で得られている情報に運動情報を加えるためのステップとなる。HIPPARCOS衛星による固有運動の計測結果データベースを活用した星の運動情報の収集も進んでいる。
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