研究概要 |
本研究では,地球軌道近傍領域に分布する小天体(小惑星・彗星)がどのような軌道および自転の力学的進化を遂げてきたのか,またそれらのなかで衛星を伴う連星系小天体がどのような機構で形成されたのかを解明することを目的として,数値シミュレーションおよび地上観測から小天体のYORP効果の定量的調査を行う.YORP効果は,天体表面の非等方的熱放射によってトルクが生じる現象で,天体にかかる力そのものは非常に微弱であるが永年的に影響を与え続けるために,とくにサイズが小さく形状の歪な小天体については自転速度および自転軸方向を変化させる重要な因子となる.われわれは主に,はやぶさ探査機によって近接観測が達成された小惑星イトカワをYORP効果研究の調査対象とし,平成21年度では,鉛直1次元の熱伝導モデルでのイトカワの表面温度分布の変化の調査および次年度の地上機会に向けた観測戦略の検討を行った.
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