研究概要 |
本研究では,地球近傍小天体の力学進化と連星系形成機構を解明するための鍵となる小天体のYORP効果を定量的に調べることを目的とする.本年度は,はやぶさ探査機が近接観測を達成した小惑星イトカワについて,過去の地上観測のデータと合わせて長期間における自転速度の変化を測定するために,比較的南に位置する望遠鏡を用いて新たに測光観測を行うことを計画した.イトカワは,はやぶさ探査機による近接観測が行われ,その形状や密度,表面特性など様々な物理特性が詳細に測られていることから,YORP効果の理論モデルの予測との比較に適している.我々の観測提案はすばる望遠鏡のサービスプログラムに採択されたが,残念ながら天候不良によりイトカワの新たな観測データは得られていない.次回の観測好機でのデータ取得を目指すとともに,イトカワと同様の他の地球近傍小天体について観測したデータの解析を進めていく.
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