報告者は、Negative Slopeアルゴリズムに対してNegative Slopeアルゴリズムによる展開列が無限に続くような初期条件に対して、帰納極限群を具体的に表し次元群を具体的に構成することに成功した。またその証明の中で、展開列が無限に続くような初期条件を与える無理数の近似分数をNegative Slopeアルゴリズムの表現行列の成分で表すことに成功した。このことは、単純連分数展開に続く無理数の新しい近似分数を与えるものである。またこれらの内容を論文として発表すべく執筆中である。この結果について、報告者は2010年度東京力学系セミナー「夏季集中セミナー」において発表した。しかしながら、Negative Slopeアルゴリズムに対応して構成した次元群に対応するadic変換の構成については未だ成功していないため、もとの3区間交換変換の位相的拡大であることの証明に至ることはできなかった。報告者は学会活動として、6月に京都大学数理解析研究所で行われた研究集会「準周期秩序の数理」と、7月に京都大学数理解析研究所において開催されたJapan-Korea Workshop on Number Theory and Ergodic Theory、さらに8月に関西セミナーハウスで行われたSummer School on the Theory of Uniform Distribution研究集会に参加した。また、伊藤俊次氏の平成22年度科学研究費補助金基盤研究(C)「準周期タイリングの構成理論とエルゴード理論」(代表者金沢大学大学院自然科学研究科伊藤俊次)とともにWorkshop「数論とエルゴード理論」を2011年2月18日及び19日に開催した。同Workshopに東京大学大学院特任研究員中石健太郎氏を招聘し、講演をしていただいた。
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