研究課題1では、先行研究には含まれない克服すべき2つの点がある。反応項がリプシッツ条件を満たさないという点と、スパイクパターンの値を増大させる関数を含んでいるという点である。これらの点を乗り越え、内部スパイクパターンを制御するには、精密な評価を求めなくてはならない。また、内部スパイクパターンを表す関数を構成する際には形式的な定常解を用いるが、この関数は境界条件を満たさないため、適当な関数を用いて補正する必要がある。反応項がリプシッツ条件を満たす際、この補正関数を構成する方法は確立されており、粘性消滅法と呼ばれる方法によって構成される。同様に、研究課題1に対して粘性消滅法を適用し、補正関数を構成することを試みた。そして、目標となる方程式の導出をした。現在のところ、この方程式の解析は難しく、既存の議論によって補正関数を構成することは難しい。したがって克服すべき新たな数学的な問題が得られた。 研究課題2では、重要なパラメータとして、酸素の供給速度とルイス数が挙げられる。本研究課題では、ルイス数が十分小さいと仮定する。一方、酸素の供給速度には技術的な仮定を課さず、特にルイス数に依存しないとする。この条件下でこれまでに、一様燃焼面を表す進行波解の構成に成功していた。さらに、今年度の研究によって、異なる種類の進行波解の構成にも成功した。この2つの進行波解は互いに逆向きに進むようなものであり、反射現象に関連した進行波解である。したがって、重要な結果が得られたと言える。
|