研究課題
若手研究(スタートアップ)
レーザーコンプトン散乱による小型X線源の構築は、レーザー光として光共振器を用いることにより、ほぼ実現できるレベルに達しており、日本のみならず世界中の研究機関においてその開発がなされている。計画・設計されているX線源では光共振器のミラーが必要であることから、最も効率の良い正面衝突が実現できていない。そこで、光共振器内に円環モードの光を蓄積することによって、最も効率良いレーザーと電子ビームの相互作用を実現することが本研究の目的である。円環モード光共振器を利用することによって1桁程度の効率化が可能である。本年度は光学設計ソフトウェアGLADを用いて円環モードを固有解に持つ光共振器の設計を行った。円錐ミラーを用いる構造や円錐プリズムを内包するタイプなど様々なタイプについて設計・評価した。実際の蓄積試験としては、波長633nmの単一周波数He-Neレーザーを用いてプリズムを内包するタイプの共振器によって円環モードが実現可能であることを確認した。ただし、プリズムを内包する共振器では当然ロスが大きく、予想通りの結果であるがフィネスも30程度と小さかった。また、円錐形の光学素子のアライメント精度は球面より厳しく、今後設計の場合には詳細に考慮していかねばならぬことが確認できた。まずは円環モードの光を蓄積可能であることを確認したことで、本年度の研究成果としては十分と言える。また、設計方針として重要な知見を蓄積できたことも次に繋がる成果として挙げられる。今後、円錐ミラーを用いるミラーのみで構成した共振器を用いることによって、フィネスが高く実機に利用可能な共振器構築へ研究を進めていく予定である。
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Nuclear Instruments and Method in Physics Research Section A (in press)
ページ: doi:10.1016/j.nima.2010.02.033
Review of Scientific Instruments 80(12)
ページ: 123304-17