本研究計画は、重力崩壊型超新星爆発における弱磁場の増幅を調べるものである。弱磁場の増幅においては電気抵抗の効果が重要となるが、電気抵抗の存在が超新星のダイナミクスにどのような影響を与えるかは調べられた例がない。昨年度はまず、弱磁場の増幅よりも簡単な初期強磁場下でのダイナミクスにおいて電気抵抗の効果を詳細に調べた。 この研究を遂行するためには空間多次元の抵抗磁気流体数値コードが必要である。本研究計画を始める際、数値コードはほぼ完成の状態にあったが、本計算を始めてみるといくつかの問題点が上がってきた。そのため最初の数カ月をその改善に充てることとなった。やがて行った本計算の結果、次のようなことを主に発見した。 強磁場を伴う超新星では、星の回転によって磁場をさらに増幅し爆発を起こさせるものであるが、電気抵抗の存在によりこれが効率的に進まない。磁場の散逸により生まれた熱エネルギーは爆発を駆動するのを助けるが、磁場が十分に成長する前に散逸してしまうため。全体として爆発のために得られるエネルギーは小さくなり、結果的に電気抵抗は爆発に不利に働くことになる。 この成果は国内外の学会・研究会で発表し、成果をまとめた論文は査読付の会議録にも受理された。 研究計画では昨年度の時点で弱磁場の増幅を調べる予定であったが、まずは強磁場のダイナミクスにおける電気抵抗の効果が大切であると判断し、その研究を行った。今年度はいよいよ弱磁場増幅のダイナミクスを調べていく予定である。
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