本研究課題では、ガンマ線バースト・(極)超新星の発生機構の本質、またそれらを用いて第一世代星や宇宙の化学進化を理解することを目的として研究活動を行っている。 本年度は特に以下のような研究を行った。 1.Shock breakoutの理論モデルの構築 2008年に初めて観測例が報告された超新星爆発のshock breakoutについて、多波長輻射流体計算を用いて、紫外線から可視光での観測を再現できる超新星爆発のモデルを構築した。その結果、観測された超新星爆発は主系列時に20Mの質量をもつ星が1.2×10^<51>エルグで爆発した現象であったことを明らかにした。またそのモデルを用いて、同じ超新星爆発が約75億光年離れた遠方宇宙で起こったとしても観測可能であることを指摘した。 2.超新星爆発2005bfの非球対称構造 特異な光度曲線を示した超新星爆発2005bfからの光の偏光を観測することによって、超新星爆発の非球対称構造に制限を与えた。 3.超新星爆発におけるニッケル56の合成量 超新星爆発で合成されるニッケル56の量についてはさまざまな数値計算が行われている。本研究では解析的手法を用いることによって、それら全ての数値計算の結果を統一的に理解することに成功した。またそれにより、ガンマ線バースト980425に付随していた明るくエネルギーの大きい極超新星1998bwについてそのニッケル56の起源は衝撃波過熱による爆発の元素合成であったことを突き止めた。
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