コンプラナジン類は神経細胞分化を促進する物質として単離、構造決定された。特にコンプラナジンAとDはヒト星状細胞腫細胞1321Nからの神経成長因子の分泌を促進しPC-12細胞の神経分化を促進する点で注目されている。コンプラナジン類を全合成し、構造活性相関研究を行って、生物活性発現機構を解明する端緒を得ることを目的として研究を開始した。その結果、全合成経路を利用した類縁体合成を視野に入れて、ピリジン環の縮環したビシクロ[3.3.1]ノナン骨格を短段階で大量合成可能な合成経路を確立した。そして、これを利用して光学活性なリコジンの全合成を達成し、コンプラナジンAの全合成への道筋をつけた。今回開発した手法はコンプラナジン類の全合成にとどまらず、他の含窒素天然物の合成に応用可能であろう。
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