酸化亜鉛(ZnO)ナノロッドの液相合成による構造制御を行った。酢酸亜鉛二水和物を強塩基アルコール中で加水分解・縮合反応させることにより、ZnOナノ結晶が得られ、アルコールの種類によって異なる形状の結晶となった。X線回折による構造解析から、溶媒アルコールの極性によって結晶軸異方的な成長が起こることが示唆された。また、ポリエチレングリコール(PEG)を反応液中に添加したところ、同様にZnOナノロッドが得られ、紫外可視吸収スペクトルの結果から、PEGの添加により散乱損失が低下したことから、得られたナノロッドの分散性が向上したことが示唆された。ZnOナノロッドとのハイブリッド化の基礎材料となる高分子として、シアノビフェニル基を側鎖とするポリ(メタクリレート)を、原子移動ラジカル重合(ATRP)法により合成し、液晶・相転移挙動を検討した。主鎖と側鎖との間のスペーサー長によって、ホモポリマーの液晶性が異なる。二種類の、スペーサー長の異なるモノマーをランダム共重合した場合、共重合体の液晶性は、それぞれのホモポリマーの中間的な性質を示し、側鎖が相分離することなく、一体的に液晶性を発現していることが示唆された。ポリエチレンオキシドと液晶性ポリ(メタクリレート)とのブロック共重合体はシリンダー型ミクロ相分離構造を形成することが知られており、本研究で得られる知見に基づきポリ(メタクリレート)を設計してブロック共重合体を合成することにより、ZnOナノロッドとの複合化および発光素子への展開する可能性を見出す重要な成果である。
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