II型ポリケチド生合成酵素が産生する多環性化合物には、芳香環と脂環とが混在する複雑な多環構造を有するものが数多く存在する。これらの化合物の中には薬理学的に重要なものもあり、その効率的、かつ量的供給を可能とする合成法の開発が望まれている。本研究では、ニトリルオキシドを基盤とする多環構造の構築法を活用し、核間位(環と環との間)に第4級不斉炭素を有する多環性芳香族ポリケチド、セラガキノンAとBE-43472-Bの合成に取り組んだ。その結果、海洋性抗菌物質セラガキノンAの初の全合成を達成するとともに、BE-43472Bの全合成に向けて有望な知見を得た。
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