研究課題
若手研究(スタートアップ)
初年度では、生体内神経伝達物質に応答する蛍光性RNA-ペプチド複合体(リボヌクレオペブチド:RNP)センサーの構築と、複数の標的分子を同時に計測可能にするため、蛍光性RNPセンサーを共有結合により安定化する方法論の開発を行った。まず、従来の蛍光性RNPセンサー構築法に従い、ドーパミンに対して選択的に応答する蛍光センサーを構築した。次に、ATP応答性蛍光RNPセンサーを用いて、RNAサブユニットと蛍光修飾Revペプチドサブユニットを共有結合により連結し、複合体形成が安定化した蛍光性RNPセンサー構築方法論を開発した。共有結合複合体は、ペプチドサブユニットのC末端とRRERNAの3'末端を、リンカー分子を介して連結することにより構築した。まず、基本骨格であるRevペプチド/RRE RNA複合体の三次元構造を基に、ヒドラジド基を有するGly-Gly-Serの繰り返し配列を用いてペプチドリンカー(ヒドラジン修飾ペプチドリンカー)を設計し、N末端にフルオレセインで化学修飾したRevペプチドのC末端に導入した。一方、ATP結合性RNPのRNAサブユニットを、過ヨウ素酸により酸化することで、3'末端のジオール部分を開裂しアルデヒドを形成させた。これらペプチドサブユニットとRNAサブユニットにヒドラゾン結合を形成させることにより、両サブユニットそ共有結合で連結したRNPセンサーを合成した。得られた共有結合複合体センサーはATP添加に伴う蛍光強度変化を示した。また、複合体が低濃度条件下では、非共有結合複合体は蛍光応答性が失われるが、共有結合複合体はその性能を維持していた。さらに、GTP応答性蛍光RNPセンサーに対しても同様の方法論が適用可能であることを示した。
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Transaction of the Materials Research Society of Japan 34
ページ: 525-527
Nucleic Acids Symp.Ser.(Oxf.) 53
ページ: 257-258
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