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2010 年度 実績報告書

膜中のコレステロールの動態と溶媒和に関する実験的および理論的解析

研究課題

研究課題/領域番号 21850021
研究機関徳島大学

研究代表者

吉田 健  徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80549171)

キーワード脂質膜 / コレステロール / 溶液NMR / MDシミュレーション / 動的溶媒和殻モデル
研究概要

本年度は、コレステロールが膜のダイナミクスに与える影響を考察することを目的とし、(1)コレステロールを可溶化する界面活性剤の探索、(2)コレステロールを特異的に可溶化させる糖型界面活性剤の親水基周囲の水和ダイナミクス、(3)膜中の疎水性溶質の回転運動に対するコレステロール濃度効果の検討、の研究を実施した。生体膜中のコレステロールの運動性は、動脈硬化等の疾病との関連から重要である。NMRは、原子サイトを識別して分子運動を観測できる強力な分光法であるが、コレステロールを含む脂質膜では、分子の運動性の低下による深刻なNMR信号の広幅化が起こる。そこで、コレステロールを可溶化する界面活性剤を利用した、脂質膜を模した実験系の探索を行った。52種の界面活性剤についての検討の結果、糖型界面活性剤であるオクチルグルコシドが、コレステロールを特異的に可溶化することを発見した。可溶化・自己組織化には、水の役割が重要である。そこで、オクチルグルコシドのミセル近傍の水の運動性を考察した。NMR緩和測定により、水分子の回転運動は、室温付近では水和殻内において減速するが、温度上昇に伴い水和殻内もバルクと同様となることを見出した。MD計算の結果も、実験に一致した温度効果を示した。コレステロールによる分子の運動性の低下は、近年の種々の実験・計算により明らかにされつつあるが、分子運動の相関時間をコレステロール濃度の関数として明らかにした研究例はほとんどない。本研究では、疎水性溶質のモデルとしてベンゼンを用い、回転相関時間をコレステロール濃度の関数として決定した。コレステロールの濃度増加に伴い、ベンゼンの回転相関時間の急激な増加を見出した。これは、コレステロールの溶質の回転運動を鈍化させる効果が高濃度領域で特に大きくなる、またはベンゼン近傍の脂質の組成比に偏りがある、といった可能性を示唆する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Scaled Polynomial Expression for Self-Diffusion Coefficients for Water, Benzene, and Cyclohexane over a Wide Range of Temperatures and Densities2010

    • 著者名/発表者名
      吉田健
    • 雑誌名

      Journal of Chemical & Engineering Data

      巻: 55 ページ: 2815-2823

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂質膜の曲率がダイナミクスに及ぼす効果:溶液NMR-NOE測定と大規模MDによる研究2011

    • 著者名/発表者名
      新谷恵
    • 学会等名
      第91回日本化学会春季年会
    • 発表場所
      神奈川大学横浜キャンパス
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] 曲率の異なる脂質膜の分子間相互作用とダイナミクス:NMR-NOE測定と大規模MDによる研究2010

    • 著者名/発表者名
      新谷恵
    • 学会等名
      膜シンポジウム2010
    • 発表場所
      京都大学薬学部記念講堂
    • 年月日
      2010-11-19
  • [学会発表] 超臨界・亜臨界水中のギ酸の分解速度に対する溶存塩の影響2010

    • 著者名/発表者名
      中谷和斗
    • 学会等名
      第33回溶液化学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学百周年時計台記念館
    • 年月日
      2010-11-17
  • [学会発表] 超臨界水中の自己拡散に対する水素結合の異方性の影響の動的溶媒和殻モデルによる解析2010

    • 著者名/発表者名
      吉田健
    • 学会等名
      第33回溶液化学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学百周年時計台記念館
    • 年月日
      2010-11-16
  • [学会発表] スクロースの水熱分解の反応経路および反応速度の溶液NMR解析2010

    • 著者名/発表者名
      野間時郎
    • 学会等名
      第33回溶液化学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学百周年時計台記念館
    • 年月日
      2010-11-16
  • [学会発表] 脂質膜の曲率がダイナミクスに及ぼす効果:溶液NMR-NOE測定と大規模MDによる研究2010

    • 著者名/発表者名
      新谷恵
    • 学会等名
      第33回溶液化学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学百周年時計台記念館
    • 年月日
      2010-11-16
  • [学会発表] 分子動力学法による超臨界水中の並進拡散に対する相互作用の異方性の影響の解析2010

    • 著者名/発表者名
      吉田健
    • 学会等名
      第51回高圧討論会
    • 発表場所
      仙台市戦災復興記念館
    • 年月日
      2010-10-20
  • [学会発表] 超臨界二酸化炭素中でのアゾベンゼンのPMMAフィルムへの拡散2010

    • 著者名/発表者名
      魚崎泰弘
    • 学会等名
      第51回高圧討論会
    • 発表場所
      仙台市戦災復興記念館
    • 年月日
      2010-10-20
  • [備考]

    • URL

      http://pub2.db.tokushima-u.ac.jp/ERD/person/189117/profile-ja.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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