研究概要 |
今年度は,主に,分離にかかる固定相について検討,評価を行った。本法では,平面型のチャネルを固定相を修飾した基板2枚でガスケットを挟み込むことにより構築するため,固定相の選択は分離において鍵となる。固定相として市販のイオン交換膜や,ポリスチレンやガラスの基板表面に,トリメチルアミノ基やジエチルフェニルアミノ基をバッチ法により導入して検討した。手法として,クロロメチル化による官能基の直接導入やシランカップリング剤による有機直鎖/官能基の導入を用いた。特にガラス基板への官能基の導入には,長い直鎖の末端に導入することで,高密度化をはかった。ガラス基板に導入した陰イオン交換基による分離カラムでは,市販の充填カラムと同等の交換容量が得られた。フタル酸や過塩素酸の溶離液では,十分な溶出力は得られなかったが,測定対象イオンはカラム内に保持された。そこで,水酸化物系や炭酸系の溶離液を用いて検討した。しかし,検出段階でのバックグラウンドが大きくなったため,当初の予定にはなかったが,サプレッサー方式の導電率検出を試みた。陽イオン交換膜で隔てた2つのチャネルを設け,一方のチャネルに溶離液,もう一方に再生液として硫酸を流すことで,100mMのアルカリ溶液まで溶離液として使用可能となった。その結果,高濃度のアルカリ溶液により導入した対象イオンを溶出できた。十分な分離能をまだ得られていないため,チャネルの長さや厚みについてさらなる検討を要する。一方,検出方法については,サプレッサー方式による直接接触型導電率のみならず,非接触型導電率検出に成功している。長光路の吸光度検出についても現在,検討を進めている。
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