大気環境を把握するためには、少なくとも数種類のガス成分を同時にモニタリングすることが望ましい。また、不安定な大気試料を現場から持ち帰って分析することは困難であり、オンサイトで多成分を一斉に分析するシステムの構築を目指した。大気成分一斉分析システムは、まず、大気成分をオープンチャネルガスコレクタにより水溶液中にイオンとして定量的に捕集する。その後、捕集溶液中のイオンを分離・検出することで大気成分を定量する。今年度は、昨年度に引き続き、分離・検出部の開発を手がけた。 オンサイトでの分析のためには、大型の高圧送液ポンプを必要としない分離・検出法が不可欠である。昨年度は、平面型カラムとして、ガラス基板にイオン交換基を修飾し、極薄の液層を構築し分離を試みた。しかしながら、十分な分離能を得ることはできなかった。そこで、本年度は、まず、モノリス型の分離カラムを検討した。アクリル系のモノリスを合成し、種々の修飾手法やイオン交換基、溶離液を検討したが、十分な分離能を得るには至らなかった。そこで、送液ポンプフリーな分離法であるキャピラリー電気泳動に着自した。マイクロスケールの吸光度検出器を構築後、無機陰イオン種の分離を試みた。十分な分離能が得られたものの、感度が不十分であった。そこで、非接触型電気容量検出器を検討した。現在、分離条件の最適化を進めている。分離条件の最適下の後、ガスコレクタと分離部のインターフェースについて独自の手法を取り入れてシステムの構築を進めていく。
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