研究概要 |
1. RNAのセレクションと発光シグナルによる標的化合物のイメージング 平成21年度に最適化を行った条件で、theophyllineおよびtetracyclineの存在下でTatペプチドに結合するRNAのセレクションを繰り返した。6回のセレクション後に得られたRNAでTatペプチドとの結合特性を解析したところ、25℃におけるTatペプチドとの結合定数(Ka^<25>)がtheophylline存在下で11倍、tetracyclineの存在下で38倍に増大するRNAを獲得することができた。これらのRNAの配列を解析したところ、標的化合物の結合によりRNA構造が大きく変化し、これを起因としてTatペプチドとの結合強度が上昇していることが予想された。また、得られたRNAを、TAR-RNAとの結合により発光シグナルを上昇させるLuciferaseプローブと併用することにより、発光シグナルによる標的化合物の検出が可能であることが示された。 2. theophyllineによる遺伝子発現量の変化を介した細胞内でのtheophylline検出 TAR-RNAとTatとの結合は、免疫不全ウイルスの遺伝子発現の起点ともなる相互作用である。そこで、theophyllineを認識するRNAアプタマーとTAR-RNAとを直結させたRNAを設計し、Tatペプチドとの結合を評価したところ、theophyllineによりTatペプチドとの結合定数が大きく減少することを確認した。このRNA配列を利用して細胞内での遺伝子発現調節への応用を試みたところ、theophyllineにより遺伝子発現量が減少した。この結果より、RNAアプタマーとTAR-RNAとを組み合わせることにより、標的化合物を遺伝子発現量の変化として細胞内検出ことが示された(T.Endoh and N.Sugimoto, ChemBioChem, in press)。
|