研究課題
若手研究(スタートアップ)
細胞内でタンパク質の相互作用を定量に解析できる技術は、試験管内よりもより正確な細胞内でのタンパク質の実際の相互作用や作用機序の把握につながる。そして、この知見をもとに細胞内タンパク質間ネットワークの制御や、成長・分化・細胞死といった細胞の生理的活動の調節などへの展開が期待できる。本研究では、目的の相互作用に関与する2種のタンパク質の発現量を、ペプチド核酸(PNA)導入ペプチドなどを用いることにより自在に変化させることで、動物由来の生細胞内でのタンパク質同士の相互作用を詳細かつ定量的に解析できる系の構築を試みる。本年度は、まず細胞内で複数種のターゲットタンパク質発現量を別々に制御できる系の構築を試みた。発現制御には、核酸に高次構造を取らせてその立体障害によって転写や翻訳を制御する、ペプチド核酸導入ペプチドを用いる新規の方法を検討した。具体的には、グアニンに富む核酸配列を四重鎖構造へ誘起させ、さらに特定の酵素の発現などの細胞内環境変化でその核酸構造を変化させる、PNA含有ペプチドの創製を行った。本ペプチドはグアニンPNAに富んだ配列により核酸の四重鎖形成を誘起させる部位と、プロテアーゼ基質配列部位から構成される。これにより、プロテアーゼ非存在下では本ペプチドは核酸の四重鎖構造形成を誘起し、プロテアーゼ存在下では本ペプチドが切断されてその構造誘起能を失うという核酸構造制御系の基礎が構築できた。今後、本成果を利用して実際に生体疑似環境などでの四重鎖構造制御が可能かどうかの検討や、細胞内などで発現制御が可能かどうかの検討を行っていき、細胞内での複数種のタンパク質の発現を制御できるシステムの確立を行う予定である。以上のシステムを確立することで、細胞内でのタンパク質相互作用解析に向けた基礎的技術の確立を目指す。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
Peptide Science 2009(K.Okamoto, Ed.) 2009
ページ: 111-112
シングルセル解析の最前線"タンパク質・細胞分析用デザインペプチドチップ"(株式会社シーエムシー出版)
ページ: 17-24
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106
ページ: 18563-18568
Methods. Mol.Biol. 570
ページ: 273-284
超分子サイエンス&テクノロジー"プロテインチップデバイス"(株式会社エヌ・ティー・エス)
ページ: 1067-1075
http://www.konan-first.jp/graduate/ti_205_a.html
http://www.konan-first.jp/database/search.php?keyword=&author=2&from_year=0&to_year=0&searchEssay=Search&hideInfo=essay#resultList