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2009 年度 実績報告書

先進国社会における特異的な水系感染症ウイルス進化による塩素耐性獲得メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21860003
研究種目

若手研究(スタートアップ)

研究機関北海道大学

研究代表者

佐野 大輔  北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80550368)

キーワード水系感染症ウイルス / 消毒 / 遊離塩素 / 変異 / 塩素耐性 / カプシドタンパク質 / アミノ酸配列 / 上下水処理
研究概要

本邦を含む先進国社会においては,上下水道整備による衛生環境の向上及び医学的知見の蓄積により,コレラや赤痢といった古くから猛威を奮っていた水系感染症はほぼ封じ込められたと言って過言ではない.ところが,そのような古くからの水系感染症とは異なり,ノロウイルスやロタウイルスなどの腸管系ウイルスによる感染症は,衛生状態の良い先進国社会においてもほとんど制御不可能なのが現状である.この腸管系ウイルス感染症の問題に積極的に対処していくためには,ウイルスが有していると考えられる生存戦略を明らかにし,その戦略の成立要件を崩すことが有効と考えられる.本研究では,特に腸管系ウイルスの感染能力へ直接的な影響を与えることでウイルス学的応答を惹起することが予想される上下水道処理における消毒処理に着目し,「水処理過程における消毒処理が腸管系ウイルス感染ルートの中で選択圧として働いている」という独自の仮説を立て,それを証明することを目指した.実験ウイルスとして大腸菌ファージQbetaを用い,遊離塩素処理と大腸菌による増殖を繰り返す事で遊離塩素耐性株を取得し,ウイルス粒子の外殻タンパク質遺伝子に生じた変異を解析して遊離塩素耐性に寄与するアミノ酸組成に関する情報を得た.その結果,遊離塩素処理によるlog reductionにして最大1logの違いが株間で見られること,さらに遊離塩素に対する耐性が異なる株間において,ウイルス粒子の最外殻に位置する部分のアミノ酸配列に変異が比較的多く見られることが明らかとなった.遊離塩素と最初に接触する外殻タンパク質におけるアミノ酸組成が遊離塩素耐性に関わっていることが示唆される結果であり,どのようなアミノ酸変異が遊離塩素耐性をもたらすのかについて今後詳細に見て行くことが必要であると考えられた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Detection of oxidative damages on viral capsid protein for evaluating structural integrity and infectivity of human norovirus2010

    • 著者名/発表者名
      佐野大輔, 他
    • 雑誌名

      Environmental Science and Technology 44

      ページ: 808-812

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 培養できない腸管系ウイルス不活化評価を目的とした外殻タンパク質酸化傷害検出手法の開発2009

    • 著者名/発表者名
      佐野大輔, 他
    • 雑誌名

      環境工学研究論文集 46

      ページ: 423-428

    • 査読あり
  • [学会発表] ノロウイルスの環境中動態に影響を与える腸内細菌のスクリーニングに関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      佐野大輔, 中込治, 中込とよ子, 他
    • 学会等名
      第42回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      福岡大学,福岡
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] 胃腸炎ウイルス不活化指標としてのカプシドタンパク質酸化損傷検出手法の開発2010

    • 著者名/発表者名
      佐野大輔, 中込治, 中込とよ子, 他
    • 学会等名
      第42回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      福岡大学,福岡
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] 培養できない腸管系ウイルス不活化評価を目的とした外殻タンパク質酸化傷害検出手法の開発2009

    • 著者名/発表者名
      佐野大輔, 他
    • 学会等名
      第46回環境工学研究フォーラム
    • 発表場所
      新島学園短期大学,高崎
    • 年月日
      2009-11-27

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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