研究概要 |
平成21年度には,以下の2点に着目した研究を行った. 1)土に含まれる礫分・空隙が土の水分特性に及ぼす影響について 平成21年度は,大型アクリル円筒を用いて砂分以下の土,礫分混入の土に関する土の水分特性を計測した.実験では両者とも砂分以下の土の乾燥密度を一定とし,礫分混入による土の水分特性への影響を観察した.その結果,土の水分特性曲線の形状は砂分以下の土の乾燥密度にのみ依存し,礫分の混入には依らないこと,また砂分以下の土の乾燥密度が等しい場合,礫分の混入により透水速度が低下する事が明らかとなった.平成22年度には,礫分の代わりに空隙を混入した供試体を用いた試験を行い,土の中に多数の空隙が存在した場合の土中水の動きが礫分混入の土の場合とどのように異なるのかを観察する. これらの結果を整理する事によって,盛土地盤の飽和度分布に影響を及ぼす要因(土の密度,礫分混入率,空隙率など)とその寄与割合が明らかとなり,盛土地盤防災の発展に寄与できるものと考えている. (2)降雨による谷埋め盛土内の水分分布の経時変化を予測するための予備解析 平成21年度は,(1)で実施した大型アクリル円筒を用いた土の水分特性試験を模擬した2次元不飽和浸透流解析を行い,不飽和浸透流解析コードが実際の室内試験における水分分布の経時変化を再現できるかを検討した.解析メッシュは横20cm,縦220cmの領域を2×2cmの正方形メッシュで1100個のメッシュで等分割したメッシュを用いた.礫分のメッシュの位置は乱数を発させて決定した.土質パラメータは(1)の大型アクリル円筒を用いた試験および室内試験から得られた値を用いた.解析の結果は,大型アクリル円筒を用いた試験の飽和度の経時変化をよく再現できており,今後の実地盤への適用にむけて期待が持てるものであった.
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