Fe-Pt合金粒子を合成するために、本年度は多価アルコールを溶媒とした液相還元に取り組んだ。合成においては、溶媒としてエチレングリコール、投入金属塩としてFeCl_2・4H_2OおよびPt(acac)_2、分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いた。また、Fe-Co合金粒子の合成において還元反応の促進効果が報告されているNaOHを添加したFe-Pt合金粒子の合成も試みた。 Fe/Pt=7/3の投入金属塩モル比および130℃の反応温度でNaOHの添加が粒子生成に及ぼす影響を調べた。その結果、NaOHの添加なしでは粒子は生成しないが、NaOHを3g以上添加することにより粒径が数ナノメートルでfcc構造のFe-Pt合金粒子が得られた。つまり、Fe-Pt合金粒子の合成においてもNaOHにより反応が促進されることが明らかになった。得られたFe-Pt合金粒子のFe組成は50at%であった。そこで、130℃の合成温度および5gのNaOH添加量の条件で、投入金属塩モル比がFe-Pt合金粒子の組成に及ぼす影響を詳細に調べた。Fe-Pt合金粒子のFe濃度は投入金属塩モル比Fe/Ptの増加に伴い増加し、Fe/Pt=5/5では50at%程度であった。しかし、Fe/Pt>5/5の投入金属塩モル比の条件でも、Fe-Pt合金粒子のFe組成は50at%程度であった。また、5gのNaOHの添加およびFe/Pt=7/3の投入金属塩モル比の条件で、反応温度がFe-Pt合金粒子の組成に及ぼす影響を調べたが、反応温度の低下に伴い粒子のFe組成は増加するが、130℃以下では50at%程度であった。 これらの結果により、NaOHの添加による従来困難であった比較的低温でのFe-Pt合金粒子の合成において、等比組成の粒子形成を促進する機構の存在が示唆された。
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