アルミニウムメーカーから発生するアルミドロスからメタルを回収したときに発生する残渣(アルミドロス残渣)について、構成相、構成元素、形状などの詳細な分析を行った。アルミドロス残渣はMgAI204のスピネル酸化物を主成分とし、メタルの回収方法によって窒化物を含有量が大きく異なることがわかった。電気アーク炉にて処理したアルミドロス残渣は、発熱フラックスを利用したMRMと呼ばれる方法で発生する残渣と比較して窒化物を多く含有しており、資源化の対象として好材料と言える。アルミドロス残渣を原料として、アルカリ水溶液を用いたアンモニアと水酸化アルミニウムの同時製造を試みたところ、アンモニアはガスとして回収でき、水酸化アルミニウムについては溶液の温度制御によって高純度品を沈殿分離回収することができた。得られた水酸化アルミニウムの純度は、バイヤー法で得られる水酸化アルミニウムの純度と同等以上であり、か焼してアルミナを製造すれば再び金属アルミニウムの原料にできる。 アルミニウムと同じ軽金属のマグネシウムについても同様な処理を想定し、マグネシウムリサイクルの熱力学的解析を行った。そこではマグネシウム製品に含まれる合金元素についてリサイクル時の酸化物相、ガス相、メタル相への分配を定量的に評価した。ほとんどの物質がメタル相に残存することが明らかとなり、スクラップの回収方法を含めた組成に着目するリサイクルのシステム構築が重要であることがわかった。
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