研究概要 |
本研究課題は、熱電変換材料として有望なアルミ(AI)系正20面体準結晶及び関連結晶の、(1)試料組織変化による電気伝導率及び陽電子消滅率の評価を行うごと(伝導には、価電子数密度だけではなく、緩和時間の効果も含まれるため)、(2)電気伝導率と陽電子消滅率との関係を調べ、両者の相関を明らかにすること、により、陽電子消滅法を用いだAl系準結晶における結合性評価方法を確立することである。 期間最終年度である本年度は、(1)に関連して、アーク溶解法並びに放電プラズマ焼結法を用い、Al-Re-Si系近似結晶の焼結体試料、また(2)に関連して、Al-Cu-Ru系準結晶・近似結晶をはじめとして、準結晶の関連物質であると考えられるGa_2Ru及びGa_3Ru,In_3Ruの単相試料の作製を行った。加えて、種々の元素をドープした試料の作製を試みた。その結果、各試料ともに単相性良好の試料作製に成功し、系統的に熱電物性測定を行った。 種在の試料に関して、陽電子消滅率と電気伝導率の相関を検討した結果、組織の異方性による電気伝導の変化を越えて、両者の間に相関があることを見出した。この結果は、研究目的である陽電子消滅法を用いたAl系準結晶における結合性評価の可能性を示すものである。 また、関連物質であるGa_2Ru系化合物や(Ga,In)_3Ru系化合物は、フェルミ準位近傍に幅の狭いギャップを形成することに起因して、高い熱電特性を示すことが明らかになった。特に、Ga_2Ruに関しては、金属間化合物としては高い無次元熱電性能指数ZT=0.50という値を示し、これらの合金系が熱電変換材料としそ有望である可能性が示された。
|