研究課題
若手研究(スタートアップ)
本研究では、一般家庭においても容易に、そして安全に使用可能な生体情報計測用センサを開発することを目的に、柔軟な酸素センサの開発を行った。電極パターンの形成では、まず酸素透過性高分子膜であるポリプロピレン膜に紫外線硬化樹脂をスピンコーティシグした後ベークした。このポリプロピレン膜に光マスクを介して紫外線を照射し、不要なレジスト樹脂を現像液にて除去することで、電極パターンをポリプロピレン膜上に転写した。次に、雷極パターンが転写されたポリプロピレン膜上に成膜装置を用いてPt及びAgをスパッタリングした。その後、不要なPt及びAg薄膜を除去することで、多数の帯状電極を膜上に形成することが可能であった。酸素センサの作製では、酸素不透過性のポリエチレン膜を作製した電極上にポケット状に熱溶着し、ポリエチレン膜と電極間に親水性の多孔質膜を挿入した。その後、酸化還元反応のばとしてのKC1溶液を膜と電極間に注入し、注入口を熱溶着にて密閉することで酸素センサを開発した。なお、本センサのサイズは生体計測を考慮し、3mm×50mm×84μmとした。センサの特性評価では、まず液相にて亜硫酸ナトリウムを用いて25℃における溶存酸素計測を行った。酸素センサを酸素飽和溶液中に浸漬し、予めサイクリックボルタンメトリーにより求めた-400mVをPt電極に印加した後、亜硫酸ナトリウムを滴下した。その結果、溶存酸素の減少に伴う出力応答が観測され、0.104-7.35mg/lの範囲で定量が可能であった。また、生体計測を念頭に38℃での特性を評価した結果、25℃と同様の出力応答が得られ、0.0134-6.81の範囲で定量が可能であった。さらに、サンプルバッグを用いた気相での特性評価の結果、酸素濃度に応じた出力が観測され、繰り返し計測でも良好な再現性が確認された。今後は、本センサを用いて生体計測を行う予定である。
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