研究概要 |
本年度は,(i)制御問題の達成可能性能に関してどの様な代数的特徴づけが可能であるかを探る,(ii)代数的手法を用いるとどのような利点が得られるのかを明確にする,(iii)効率的な解法手法を構築するための代数幾何と制御問題の解法との間の関係を明らかにする,ことを目的として研究を行なった.(i)に関しては,離散時間系の制御問題に対する結果をCDC-CCC 09にて発表し,またさらにそれを改良したものを雑誌論文として準備している.また,制御問題と双対の関係にあるフィルタ問題や多入出力系の制御・フィルタ問題における達成可能性能に関しては,いくつか途中結果を導出している.これに関してほ22年度,共同研究者との議論を通じてさらに詰めていく.(ii)に関しては,物理パラメータをパラメータのまま残して最適制御器を設計し,その結果を利用することにより,物理パラメータの変化に対する直接的な最適性能の感度解析を可能とする手法を明確に示した.具体的には,感度解析,最適パラメータ値の決定手法などの計算算法を示した.それらの結果をまとめて,MSC(CACSD)10へ論文投稿を行なった.(iii)に関しては,Sum of Rootsを用いた多項式スペクトル分解を代数的Riccati方程式の解法へ拡張し,その結果をISSAC 09にて発表しているが,その結果を具体的に計算機上に実装し,また計算の効率化のための細かい改良を加えた.それにより,(ii)の研究成果を得ることが容易となり,現実的な設計ツールの構築へ近づいた.
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