研究概要 |
本年度は多種類の強誘電体マイクロプラズマ源の試作検討を行い、そのプラズマ放電特性の把握および生成機構解明を試みた。プラズマ源の強誘電体材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム(STO)、定比ニオブ酸リチウム(SLN)を検討し、その中からSLNを用いた直径5mmのディスク状マイクロプラズマ源を作成した。電源には直流安定化電源とネオントランスを組み合わせ、2~9kVの高電圧を発生出来る低周波高圧電源を利用した。真空中では作動ガスとしてアルゴン(Ar)を用い、数10Pa程度の圧力下での放電を確認し、また、大気圧下において周辺大気(N2,O2)を用いた大気圧プラズマでの動作も確認した。これと並行して、静電加速型推進機としての特性解析を行うための粒子モデル(PIC/MCC: Particle-in-Cell/Monte Carlo Collision)の改良を行った。ベンチマークとして作動ガスをArとした直径6mmの超小型誘導結合型プラズマ源(ICP)およびそれを利用したマイクロイオン推進機を対象とした計算を行い、実験結果との整合性を調べた。プラズマ源の解析においてはプローブ診断による実験結果と一致し、また、イオン推進機としての性能は推力60μN、比推力7000sと妥当な結果が得られた。最後に、インテリジェント・マイクロスラスタとして機能させるために重要な要素となるアレイ化について、MEMSプロセスによる強誘電体薄膜を用いたスラスタ構成の検討を行った。具体的には、酸化マグネシウム(MgO)およびSOI(Silicon on Insulator)の基板に2μmのPZTを蒸着させたものを利用し、バイポーラパルス電圧をかけた際に生じる電子放出機構の解析を行った。
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