研究課題
宇宙ミッションの低コスト化に大きな貢献が期待される次世代の超小型高機能人工衛星を実現するには低消費電力で小型・軽量なマイクロ推進機が求められる。本研究では、強誘電体とそれを挟む2つの電極からなる強誘電体マイクロプラズマスラスタの研究開発を行った。本マイクロスラスタは強誘電体自身を燃料とすることにより、タンクや燃料供給機構を必要とせず、非常に小型化しやすい特徴を持つ。昨年度より引き続き、強誘電体材料としてランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)、定比ニオブ酸リチウム(SLN)、一致溶融ニオブ酸リチウム(CLN)、ソフトチタン酸バリウム(Soft-BTO)の4種類の強誘電体材料を用いて直径5mmのディスク状マイクロプラズマ源を作成した。高圧両極性パルス電源を用いることで、高真空(10^<-4>Pa)から大気圧までの広い圧力範囲においてプラズマ生成を実証し、その発光スペクトルを発光分光法により分析することで強誘電体材料がプラズマ化していることを確認した。また、同時に高圧両極性パルス印加時における電圧・電流波形を測定することにより強誘電体材料の正イオン(Li, Nb等)および電子双方の電流が得られた。それぞれの電流測定値は同程度の値であったことからイオン放出によって推力を得ると同時に、電子放出によって自己中和が行われていることを確認できた。簡素な構造が求められるマイクロ推進機において、この自己中和機能は小型・軽量化に大きな利点となる。推進機の性能としては、CLNを用いた場合、印加電圧±4.5kV、パルス幅2μs、パルス繰返し周波数10kHzの条件において、推力120μN、比推力115s程度と見積もられた。
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Journal of Applied Physics
巻: VOL.108 ページ: 093309(1-8)