研究概要 |
空間構造体ははり部材とそれらを連結する結合節で構成され,超軽量性,高機能性および空間制約などの各種要求に応じた構造設計が可能となるため,その力学特性を理解することは工学上きわめて重要である.本研究では,より広い視点から空間構造体がもたらす多彩な変形様式を理解することを目的として,節の多回転相互作用に着目した2次元柔軟節構造体の弾性変形モデルを構築した.そして,構築した数値解析ツールを利用して,新規空間構造体を独自に提案し,構造不安定性やポアソン比特性を対象に節の回転特性に依存する空間構造体の変形メカニズムを解明した.得られた結果を以下に整理する.(1)柔軟節で連結された2x2セル集合を有する周期正方セルの等二軸圧縮座屈解析より,系の短波長座屈モードと4位節の基本回転モードとの相関を明らかにした.さらに,4x4セル集合による同様の座屈解析より,座屈変形が局所化する周期正方セルのセルサイズ依存性について検討した.(2)4位柔軟節構造体を新規提案し,節の柔軟性に依存して正から負までの広範囲のポアソン比を許容する当該構造体の力学特性を明らかにした.そして,4位柔軟節構造体の製作モデルを用いた単軸引張試験より,同様のポアソン比特性を実験的に証明した.また,2次元数値解析では計算できない4位柔軟節構造体の面外変形特性を単軸引張試験によって評価した.(3)反対回転モードを有する8位節と滑節連結された2位節で構成される8位節展開構造体を提案し,局所的な回転作用によって動作する当該構造体の展開/収縮機構を数値解析より求めた.そして,製作実験による当該構造体の設計開発を通して展開/収縮動作を実証し,8位節展開構造体の工学的応用性について検討した.
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