研究概要 |
本研究は、棒状液晶分子の配向が360度方向にねじれた局所構造体が3次元的に連なった液晶相であるコレステリックブルー相のフォトニック特性に関するものである。コレステリックブルー相は体心立方格子のブルー相Iおよび単純立方格子のブルー相IIと分類されるが、それぞれの相のフォトニック構造としての性質については詳細な報告がない。二つのブルー相のフォトニック特性を比較するために、フォトニックバンドギャップが同じ波長帯域に発現するコレステリックブルー相材料の作製を行い、レーザ発振特性を評価した。具体的には、棒状分子からなるネマティック液晶とキラル剤の混合濃度を調節し、ブルー相Iの(110)面およびブルー相の(200)面からの反射が共に約500nmに発現する材料を作製した。作製した試料にゲイン媒質としてレーザ色素であるクマリン500を添加し、DFB型レーザとした。一方、一次元周期秩序を形成し、小型コヒーレント光源としての研究が進められているコレステリック相との比較を行う為、ブルー相Iの(110)面およびコレステリック液晶の反射が約580nmに発現する材料を作成し、レーザ色素パイロメテン580を添加した試料を作製した。 クマリンを添加した試料をフェムト秒レーザにより励起し、レーザ発振特性を比較したところ、それらのレーザ発振閾値は6-8mJ/cm2であり、同程度であった。また、コレステリック液晶レーザとブルー相Iをナノ秒YAGレーザにより励起し、レーザ発振特性を比較したところ、レーザ発振閾値は共に0,6mJ/cm2程度となり、同程度であった。試料の配向制御手法など、今後解決すべき問題も残ったが、本研究によって、コレステリック液晶およびブルー相IとIIが同程度のレーザ発振閾値をもつとことが明らかとなった。
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