国際的な資源戦略上、最重要課題となっているレアメタル(白金族元素・希土類元素・バナジウム・モリブデン・タングステン等)の合理的なリサイクルシステムを構築することを目的とし、自然界でこれらの元素を効率的に濃縮しているマンガンノジュールの生成過程における対象元素の濃縮機構の解明から、対象元素のリサイクルシステムへと発展させることを目指した。 (1) マンガンへの金(I)と金(III)錯イオンの濃集 金(I)・金(III)イオンの水酸化マンガン(II)への共沈及び二酸化マンガン(IV)への吸着実験を行った。金の吸着率は原子吸光法により見積もり、マンガン相へ取り込まれた金及び担体であるマンガンの化学状態の決定にはX線光電子分光・X線吸収分光法を用い、また電子顕微鏡での金粒子観察も行った。金は(III)イオンのほうが(I)イオンよりも効率よくマンガン相へ取り込まれ、化学状態もイオン状態から金属金へと還元された。一部は金粒子として確認できた。 (2) 鉄への白金(IV)錯イオンの濃集 白金(IV)イオンの水酸化鉄(II)及び(III)への共沈実験を行った。水酸化鉄(II)イオンのほうが水酸化鉄(III)イオンよりも効率的に白金(IV)イオンを取り込み、その上、一部の白金(IV)イオンを金属白金まで還元された。 (3) マンガンへのパラジウム(IV)錯イオンの濃集 パラジウム(IV)イオンの水酸化マンガン(II)への共沈実験を行った。パラジウム(IV)は効率よくマンガン相へ取り込まれるものの化学状態の変化は認められなかった。
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