研究概要 |
本研究では,構造解析の計算量を低減し,張力構造、特にテンセグリティ構造の本質的力学特性を解明し、そしてその性能設計法の確立のために,H21年度には下記の成果が得られた。 1.既往研究において提案した二面体群対称性を有するテンセグリティ構造の軸力密度行列(幾何学的剛性行列の一部)を解析的にブロック対角化の方法は同じく二面体群対称性、かつ二つの節点軌道のある'Star'型テンセグリティ構造に適用し、その無条件的安定性の一般条件を誘導・証明できた。また、そのprestress stabilityに対する条件も推測した。 2.新しい位相(接続関係)・形状を有するテンセグリティ構造を見つけ出すために、すべて既知の節点を接続するグランド構造から、軸力密度法の考え方に基づいて探索法を提案した。この探索法によっては、いままで知られていなかった新しい形の構造の創出もできた。さらに、この探索法によって得られた構造物は無条件的安定性を保証できる。 3.上記1の二面体群対称性に対する成果を拡張し、多面体(四面体、六面体、八面体、十二面体、二十面体)群対称性を有するテンセグリティ構造物に対して、自己釣合解析および安定性条件の誘導に適用した。既往研究の提案手法は二面体群だけでなく、その以外の点群にも有効であることを確認できた。さらに、四面体群対称性を有するテンセグリティ構造の無条件的安定条件を誘導できた。本年度においては、その続きとして、ほかの多面体群対称性を有する構造の安定性条件を誘導する。
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