研究概要 |
平成21年度は、米国の新ゾーニング手法「フォームベースドコード」を活用して開発された米国のコミュニティ開発、中心市街地の活性化等の実地調査が主たる研究実施内容であった。調査対象は米国東海岸のワシントンDC近郊とフロリダ州、そして、西海岸のベイエリア近郊であり、主な調査対象プロジェクトは、シーサイド,ケントランズ,セレブレーション,ローズマリービーチ,ハーキュリーズ,クロシングズ,リブモア市ダウンタウン等であった。 調査の結果、郊外の未開発の土地であるグリーンフィールドで実践されたプロジェクトに関しては、フォームベースドコードによる具体の成果を認識することができた。一方、既存の中心市街地にフォームベースドコードを適用した事例に関しては、それに従って開発されたいくつかの個別のプロジェクトは確認できたものの、フォームベースドコードの適用による地区単位での成果が表れるまでには、もうしばらく時間を要することが明らかとなった。また調査を通し、米国においてはフォームベースドコードがかなり広範に適用され始め、従来のゾーニング法規によって1世紀弱にわたり主導されてきた米国の都市計画手法は大きな転換期を迎えていることが確認できた。 環境問題や社会問題の深刻化によって、都市計画の変革が迫られている日本にとっても、未だ紹介されていないフォームベースドコードの手法は、今後の都市計画のあり方を考えていく上で、重要な手掛かりとなることが確認できたのは大きな成果であった。 この成果をもとに、実際に施行されたフォームベースドコードの分析を行い、その有効性の更なる検証へとつなげていく。
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