研究概要 |
日本近海の海底下に多く存在しているメタンハイドレートは,次世代エネルギーとして注目されている資源であるが,その一方で海底下数mの表層に位置しているメタンハイドレート(表層型メタンハイドレート)は,その多くがプレート境界付近に分布しているために,地震活動などが原因で解離してメタンガスが海中や大気中に放出して地球温暖化を助長することが懸念されている. 本研究では,表層型メタンハイドレートが存在する周辺堆積土の土質特性や強度を検討するために日本海東縁域やオホーツク海などの海底下表層に存在するメタンハイドレート賦存地盤に着目し,本領域で採取された海底表層土を用いてメタンハイドレートの存在有無による堆積土強度や土質特性の違いについて調べている.平成22年度の研究では採取された堆積土を用いて実施した各種土質試験結果をもとに,メタンハイドレートの有無による強度特性の比較を行った.その結果,メタンハイドレートを含有する堆積土では地盤下部でのガス・水の湧出やメタンハイドレート採取時の応力解放により,採取直後の堆積土強度が著しく低下していることがわかった. さらに,メタンハイドレートの解離によって間隙水中に含まれる塩分濃度が局所的に低下することから,この現象による堆積土強度への影響についても室内試験により検討した.その結果,塩分濃度の低下によって堆積土の骨格構造が変化することが電子顕微鏡レベルで確認でき,塩分濃度の低下が一因となってせん断強度やせん断波速度に影響を与えることがわかった.
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