研究概要 |
沿岸海域は港湾などの経済的活動の場だけでなく,海水浴などの親水活動の場でもある.また生態系を支える海洋生物や植物の生育場所でもあり,重要な資源であるため,沿岸海域の保全や防災,環境を目的とした沿岸調査が活発に行われている.しかしながら,浅く複雑な海底地形を有し,さらに波がある沿岸域では測量船が入っていけず,水中ロボット(Remotely Operated Vehicle,以後ROVと呼称する)も運用が難しい.このため,極浅海域での調査活動はもっぱら人力に頼らざるを得ないのが現状である.そこで本研究では,複雑な流れ場でも柔軟に遊泳するウミガメの推進機能に学び,簡単なウミガメ前肢モデルによる水理実験を行い,沿岸域に適した推進機構を開発することを目的とする.本研究では一様な流れ場だけでなく,波によって生じる往復流や摂動流中の推進特性も研究対象とする. 平成21年度において,ウミガメの前肢を模した多関節の小型の実験モデルを製作する.水族館で撮影した遊泳中のウミガメの動画を用い,前肢の胴体側から先端までを数ユニットに分けて画像解析し,各関節の回転速度と迎角の時間変化を把握する.平成22年度では,前年度より大きい推力を発生することができる前肢実験モデルを製作し,一様流中における推力実験を行うとともに,摂動流中の流体力及び流れ場の実験を行い,推力特性を把握する.
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