研究概要 |
本研究はレトロトランスポゾン由来遺伝子であるPeg11/Rtl1のアンチセンスRNAであるAntiPeg11/Rtl1asの機能を明らかにすることである。平成21年度の研究ではAntiPeg11/Rtl1由来のmicroRNAとPeg11/Rtl1タンパク質発現解析を行った。その結果、6種のAntiPeg11/Rtl1由来のmicroRNAは様々な器官で器官特異的な発現パターンを示していること、Peg11/Rtl1タンパク質が発現していない器官でも発現していることが明らかになった。また、in vitro系を用いた機能解析から、AntiPeg11/Rtl1as由来のmicroRNAはPeg11/Rtl1の発現抑制を行うとともに、他のターゲット遺伝子の発現も抑制することを示した。これらのことはAntiPeg11/Rtl1由来のmicroRNAが胚の様々な器官でPeg11/rtl1とは独立に組織特異的なターゲット遺伝子群の発現を抑制することによって発生を制御していることを示唆するものである。 Peg11/Rtl1, AntiPe11/Rtl1asダブルノックアウトマウスの解析からは、AntiPeg11のPeg11/Rtl1とは独立した機能は胚の生存、成長、胸骨形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。このことはアンチセンスRNAがセンス鎖にコードされる遺伝子とは独立に生存に必須な役割を果たしていることを示す最初の例である。
|