研究課題
本研究では、生理活性物質レンチノロールとその標的タンパク質複合体の構造を解析し、その構造情報を基にレンチノロールを分子設計し、標的タンパク質への特異性の向上を目指した。本年度では、レンチノロールアフィニティー樹脂により同定した、標的タンパク質S-100A11、S-100A13およびS-100A16とレンチノロールの共結晶をそれぞれ作成し、X線結晶解析による複合体の構造決定を目指した。結晶構造解析を行うために、リコンビナントS-100A11、S-100A13およびS-100A16を大量発現・精製を行った。また、レンチノロールを合成により、大量調整した。調整したS100タンパク質とレンチノロールは完全なS100タンパク質-wrenchnolol複合体を形成させるために、モル比でwrenchnolol過剰となるように混ぜることで複合体形成を行った。複合体の形成は、wrenchnolol-S100タンパク質のUV吸収をモニタリングすることで行った。複合体のUV吸収波形は、レンチノロールのUV吸収波形とS100タンパク質のUV吸収波形をそれぞれ合算することで予想した。得られたS100タンパク質-wrenchnolol複合体は、限外ろ過を利用して緩衝液の置換(50mM Tris-HCl (pH.7.0) containing 1mM CaCl2)を行い、最終的に2mMの濃度までS100タンパク質-wrenchnolol複合体を濃縮した。得られたS100A11-wrenchonolol複合体溶液は、共結晶作成条件をキットによりそれぞれ960種の条件をスクリーニングした。このスクリーニングにより数種類の結晶を作成することに成功した。得られた結晶は、Crystal stainを用いてタンパク質結晶であることを確認した。しかしながら、X線結晶解析が行える良質のタンパク質の結晶を得るまでには至らず、再度、結晶化条件を検討することで良質の結晶を得られる条件を決定する必要がある。今後、良質な共結晶を作製し、X線結晶解析によりwrenchnolol-S100A11複合体の共結晶の構造を解く予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Chemical Communications
巻: 47 ページ: 4712-4714
Chemistry & Biology
巻: 18 ページ: 131-139
The Journal of Biological Chemistry
巻: 286 ページ: 4003-4010
巻: 17 ページ: 616-623